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法定後見とは?法定後見の手続

法定後見制度は、本人の保護・援助の内容が法律および家庭裁判所の判断で決められます。

法定後見は、さらに、後見・保佐・補助の3つに区分されます。平成12年より前の法律では、禁治産・準禁治産と言われていた制度で、平成12年の新法では、禁治産・準禁治産は、それぞれ後見・保佐と名称を変更して存続し、新たに補助という制度を設けました。

1.後見
後見開始の要件は、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある」(民法7条)ことです。つまり、日常生活のことに関してほとんど判断できない(しっかりしている時はほとんどない)人を対象にしています。

2.保佐
保佐開始の要件は、「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分」(民法11条)なことです。つまり、日常生活のことに関して、判断能力が著しく不十分な(しっかりしている時が少ない)人を対象にしています。以前の準禁治産者の制度では、「浪費者」が対象になっていましたが、新法により対象外となりました。

3.補助
補助開始の要件は、「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分」(民法14条)なことで、保佐よりも判断能力が高い人を対象としています。つまり。判断能力が不十分な(最近少しぼけたのかなと思うときがある)人を対象にしています。

法定後見手続きの概要は次のとおりです。
1.申立て

(1)申立人
本人、配偶者、四親等内の親族(甥、姪、従兄弟も申し立てることができることになります)など

(2)申立て先
本人の住所地の家庭裁判所

(3)申立てに必要な費用
収入印紙600円、連絡用の郵便切手(東京家庭裁判所では3,200円分)、

登記印紙4,000円、鑑定料(5〜15万円)

(4)必要書類
    @申立書、申立書附票各1通→所定の用紙
    A申立て人の戸籍謄本1通(本人以外の人が申し立てるとき)
    B本人の戸籍謄本、戸籍の附票、登記事項証明書、診断書各1通
    C成年後見人候補者の戸籍謄本、住民票、身分証明書、登記事項証明書各1通
    Dその他参考書類
   ※登記事項証明書は、東京法務局が発行する、後見開始の審判などを受けていないか、
   あるいは既に受けているかについての証明書のことです。

  ※身分証明書とは、本籍地の市区町村長が発行する、破産宣告を受けていない旨の証明書のことです。

   
2.審判

(1)鑑定
裁判所の依頼により、裁判所が指定する鑑定人(医師)が鑑定を行いますが、裁判所から、鑑定人候補者を立てるように求められることがあるので、主治医などに予め精神鑑定を引き受ける用意があるかどうか相談しておくとよいでしょう。

(2)本人の陳述聴取
本人が家庭裁判所に出頭できないとき(入院施設等にいるとき)は家庭裁判所の調査官が調査に来ることになります。


(3)後見人の選任
家庭裁判所によって、適任と思われる人が選ばれます。

ただし、申立て人は、申立書に後見人候補者を記載することができます。

後見人候補者は裁判所に出頭し調査官から意見を求められます。

3.告知・通知

審判の結果を後見人に告知され、本人にも通知されます。


4.成年後見登記

家庭裁判所が法定後見の内容の登記を嘱託します。

5.後見開始

(1)成年後見人の職務
   @財産管理権
     後見人は、自ら自己の財産を管理する能力が十分でない本人にかわって、その財産を管理します。
      この財産管理権に基づいて、後見人には被後見人の財産に関して全面的な代理権が与えられます。

     ただし、本人の居住用の建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の
      設定などの処分行為をするには、家庭裁判所の許可が必要です。
      
(許可を求める申立書は裁判所に備付けてあります)
   
   A財産目録の調整義務
     後見人は、選任された後遅滞なく被後見人の財産の調査に着手し、原則として1ヵ月以内に調査を
      終わり、目録を調整しなければなりません。

     
     財産の種類、数量、価格、所在、共有財産については共有者の氏名、消極財産については、
      債権者、弁済期限等を書面で明らかにすることになります。

   
     また、後見人は、職務を開始するにあたって、本人の生活または療育看護、財産管理のために、
      毎年費やすべき予定金額を定めなければなりません。1ヵ年の見込による概算でかまいません。

     財産目録については、特に書式の指定はありません。

   B身上看護義務 
      後見人は、医療契約に関すること、住居の賃貸借契約締結や解除などの住居確保に関すること、
     施設の入退所や処遇に関すること、介護・リハビリに関すること、その他生活の維持に関することなど
     あらゆる事項について本人のために職務を行わなければなりません。


(2)後見人の報酬
後見人は、家庭裁判所で認められれば、本人の財産の中から妥当な報酬を受け取ることができます。自分で勝手に報酬を受け取ることはできません。また、報酬の前払はできないので、一定期間が過ぎた後で(通常は1年に1回)、請求することになります。家事審判申立書で報酬付与の審判を申し立てます。

(3)その他裁判所による監督
家庭裁判所は、いつでも、後見人に対し、後見事務の報告を求めたり、財産目録の提出を求めたり、後見の事務や本人の財産の状況を調査することができます。したがって、後見人は、帳簿をつけるなどして常に本人の財産の状況などを把握しておく必要があるでしょう。